あなたは教育訓練給付制度というお得な制度をご存じだろうか?
税理士試験に関して、一定の要件を満たすと受講料の20%(上限10万円)が戻ってくる制度である。まさに錬金術。
私も税理士試験の講座を受講したときに利用して18,000円が支給された。

税理士試験は、長期戦のためお金もかかる。
この教育訓練給付制度を利用して、経済的な負担を軽減しよう。
- 教育訓練給付制度を利用して税理士試験をお得に受験したい方
- 教育訓練給付制度について知りたい方
教育訓練給付制度とは
教育訓練給付制度とは、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、教育訓練経費の一部が支給されるものである。
教育訓練の種類
教育訓練給付制度を利用できる教育訓練は、3種類。
- 専門実施教育訓練
- 特定一般教育訓練
- 一般教育訓練
給付率・給付上限が高い順に、【専門実践教育訓練】>【特定一般教育訓練】>【一般教育訓練】となっている。
概要を掲載する。
- 労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象
- 教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6か月ごとに支給
- 資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、教育訓練経費の70%(既に支給を受けた50%の給付の年間合計額と教育訓練経費の70%に相当する額(年間上限56万円)の差額)が支給
- 上記の支給の要件を満たしたうえで、訓練修了後の賃金が受講開始前と比較して5%以上上昇した場合は、教育訓練経費の80%(既に支給を受けた50%と70%の給付の年間合計額と教育訓練経費の80%に相当する額(年間上限64万円)の差額)が支給
- 失業状態にある方が初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する場合、受講開始時に45歳未満であるなど一定の要件を満たせば、別途、教育訓練支援給付金が支給
- 労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象
- 教育訓練経費の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給
- 上記に加え、資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、教育訓練経費の50%(既に支給を受けた上記の給付額と教育訓練経費の50%に相当する額(上限25万円)の差額)が支給。
- その他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象
- 教育訓練経費の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給
税理士試験は、【一般教育訓練】に該当するので教育訓練経費(受講料等)の20%(上限10万円)が支給されることになる。
ありがたい。
ここからさきは、税理士試験にフォーカスして、【一般教育訓練】について詳しく説明していく。
教育訓練給付の支給3要件
一般教育訓練で教育訓練給付を受けるためには3つの要件がある。
- 受講開始日において、所定の支給要件期間があること
- 厚生労働大臣が指定した講座を受講すること
- 修了要件を満たして受講を修了すること
1.受講開始日において、所定の支給要件期間があること
雇用保険の加入期間が要件となっている。
離職や転職などで雇用保険の加入期間が複雑な方・不明な方は、ハローワークに問い合わせてみてほしい。
はじめて制度を利用される方
受講開始日までに雇用保険加入期間が通算1年以上であること
以前に制度を利用したことがある方
いずれの要件も満たすこと
- 前回の受講開始日から今回の受講開始日までに雇用保険加入期間が通算3年以上
- 前回の給付金受給日から受講開始日までに3年以上経過

2.厚生労働大臣が指定した講座を受講すること
教育訓練給付を受けるためには、厚生労働大臣が指定した講座を受講する必要がある。
各専門学校に問い合わせるか、教育訓練給付制度検索システム(外部サイト)で検索すれば把握可能である。
各専門学校によって、教育訓練給付制度の対象となる講座が違うので、調べたうえで受講する講座を決定しよう。
3.修了要件を満たして受講を修了すること
各講座を受講する中で、各専門学校が定めた修了要件を満たす必要がある。
出席率若しくは答案提出率と修了試験の正答率などが修了要件となっている専門学校がほとんどである。
本試験の受験や合否は無関係
修了要件を満たしていても、本試験を受験しなかったり、合格しなかったりで給付金が支給されないのではないかと不安があるかもしれない。
しかし、本試験の受験や合否は一切関係がないので安心してほしい。
教育訓練給付の申込から支給までの流れ
- Step1支給要件照会
- Step2対象講座の申込・受講料を本人が支払う
- Step3一般教育訓練給付制度申請申込を行う
- Step4講座受講開始
- Step5修了要件を満たして講座が修了
- Step6給付金支給申請関係書類が届く
- Step7修了日から1ヶ月以内に必要書類一式をそろえて、ハローワークに支給申請(来所・電子申請・郵送)
- Step8支給・不支給決定通知書が送付され、給付金支給
1.支給要件照会
教育訓練給付の支給要件を満たすかどうか不安な方は、ハローワークから支給要件を満たすか確認をすることができる。
支給要件照会において、照会できる情報は以下2点である。
- 受給開始日における受給資格の有無
- 教育訓練給付の支給対象の講座か否か
教育訓練給付金支給要件照会票に必要事項を記入して、ハローワークに提出することで照会ができる。
2.対象講座の申込・受講料を本人が支払う
厚生労働大臣の指定を受けた講座であることを確認して、申込・受講料の支払いを行おう。
3.一般教育訓練給付制度申請申込を行う
専門学校によって、講座の申込と同時に一般教育訓練給付制度申請申込を行う場合と講座の申込後、一定期間内に申請申込を行う場合があるので、各専門学校に確認して、忘れずに申し込みをしよう。
もし、専門学校が指定した期間内の申請申込を失念していたとしても、念のため専門学校に問い合わせてほしい。
4.講座受講開始
給付金をもらうことが第一目的になってはいけない。
あなたの目的は税理士試験の合格だ。
講座を受講して、合格目指して勉強に励もう!
5.修了要件を満たして講座が修了
各専門学校が定める修了要件を満たせるように講座を受講しよう。
ただ、真剣に税理士試験の勉強に取り組んでいれば、修了要件を満たすことは動作もない。
いつの間にか要件を満たすことになるはずなので、勉強をがんばってほしい。
ただ、修了試験が修了要件の場合は、期日に遅れないように試験を受け、答案を提出する必要があるのでご注意を。
6.給付金支給申請関係書類が届く
無事に修了要件を満たせば、給付金の申請に必要な書類が送られてくる。
もし、送られてこない場合は、専門学校に問い合わせよう。
7.修了日から1ヶ月以内に必要書類一式をそろえて、ハローワークに支給申請(来所・電子申請・郵送)
専門学校から送られてきた書類を含めて、必要書類一式を揃え、ハローワークに提出しよう。
提出方法は、3種類ある。
あなたにあった提出方法で提出しよう。
- 来所
- 電子申請
- 郵送
ただし、講座の修了日から1ヶ月以内に申請する必要があるので、申請期限には注意が必要である。
8.支給・不支給決定通知書が送付され、給付金支給
あとは、ただ待つのみ。
支給・不支給決定通知書が送付され、7日以内に指定口座に給付金が振り込まれる。万々歳。
次の支給要件を満たすのは3年後なので、その前に税理士試験には合格したいものである。
ハローワークへの申請時の提出書類
講座の受講が無事に修了すると、申請に必要な書類を準備して、ハローワークへの提出が必要となる。
必要な書類一式は以下のとおりである。
- 教育訓練給付金申請書
- 教育訓練修了証明書
- 教育訓練実施者が発行する教育訓練経費に係る領収書
- 教育訓練経費等確認書
- 本人・住居所確認書類
- 個人番号確認書類
- 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード(受取人名のカナ表記・口座番号がわかるもの)
- 委任状
- 返還金明細書
教育訓練給付金申請書
専門学校から送付されてくる資料。
裏面の注意を見ながら、必要事項を記載しよう。
教育訓練修了証明書
出席率や修了試験の正答率等の修了要件を満たしていた場合に、専門学校から送付されてくる資料。
教育訓練実施者が発行する教育訓練経費に係る領収書
教育訓練経費を実際に受給者本人が支払ったことを証明するための資料で、専門学校が発行する。クレジットカードで決済をした場合は、領収書の代わりにクレジット契約証明書が専門学校から発行される。

発行方法は、専門学校によって異なり、【教育訓練給付申請書】【教育訓練修了証明書】と一緒に送付される場合と、専門学校の受講者専用Webページから受講者が自身で取得する場合がある。
教育訓練経費等確認書
【教育訓練給付申請書】に記載の申請金額が教育訓練経費であることを証明する書類。
以下のいずれかの場合には、提出が必要である。
不正受給でないことを確認する必要があるので、ご自身で必要事項を記載して用意しよう。
- 郵送による申請
- 代理人が申請
- 教育訓練が通信制
本人・住居所確認書類
本人を確認するための資料。
以下のいずれかのご準備を。
- 写真付き1つ:マイナンバーカードや運転免許証等
- 写真なし2つ以上:国民健康保険被保険者証、健康保険被保険者証、住民票記載事項証明書等
書類提出の時点で有効なもの、または発行・発給された日から6か月以内のものに限る。
個人番号確認書類
教育訓練給付金支給申請書に記載するマイナンバーが本人のものであるかを確認するためにマイナンバーが記載されている下記のいずれかのコピーの提出または、ハローワークでの提示が必要である。
- マイナンバーカード
- 個人番号通知カード
- 個人番号が記載された住民票の写し(住民票記載事項証明書)
- 雇用保険受給資格者証(本人の写真付き)
払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード(受取人名のカナ表記・口座番号がわかるもの)
給付金をもらうための大事な情報。
ハローワークに来所する場合は、原本の提示が必要となる。
ただし、雇用保険の基本手当受給資格者等であってすでに払渡希望金融機関指定届をおこっている場合は不要。
その他(該当者のみ)
- 委任状
- 返還金明細書
など、該当者のみ提出が必要なものもあるので、イレギュラーな申請をされる方は、ご確認の上、資料を準備して申請のときに添付しよう。
書類 | 専門学校発行 | 自分で用意 |
---|---|---|
教育訓練給付金申請書 | ○ | – |
教育訓練修了証明書 | ○ | – |
教育訓練実施者が発行する教育訓練経費に係る領収書 | ○ | ※ |
教育訓練経費等確認書 | – | ○ |
本人・住居所確認書類 | – | ○ |
個人番号確認書類 | – | ○ |
払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード | – | ○ |
委任状 | – | ○ |
返還金明細書 | ○ | – |
私の実体験(TAC)

4科目目の消費税法をTACの通信制で受講したときに教育訓練給付制度を利用した。
講座申込のときに制度利用申請申込を行った。
TACの修了要件は、通信の場合は以下の2つである。
- 添削答案提出率80%以上
- 修了試験の正答率60%以上
添削答案の提出率は、しっかり講義を受けて答案を提出すれば問題ない。
ただ、修了試験については、難易度と提出期限に不安があった。
税理士試験の本試験は、60点以上が合格である。
それと同等のレベルが求めれれるのではないかと不安になっていたが
ふたを開けてみると、とても易しい問題であった。
1年間しっかり勉強した方なら、問題のない難易度であるので安心してほしい。
提出期限については、GW明けころから約1ヶ月の間に提出する必要がある。
本試験に向けて勉強に専念したいところであるが、大事なお金のためにがんばろう。
難易度は高くないので、息抜きがてら修了試験を受けてから本試験に本腰を入れよう。
サクラサケ。