税理士試験は長期戦である。私の記録を表にまとめた。
年数 | 科目 | 合否 |
---|---|---|
1年目 | 簿記論 | 合格 |
財務諸表論 | ||
2年目 | 法人税法 | 不合格(A判定) |
消費税法 | 年内離脱 | |
3年目 | 法人税法 | 合格 |
消費税法 | 年内離脱 | |
4年目 | 消費税法 | 合格 |
5年目 | 国税徴収法 | 官報合格 |
モチベーションの維持が難しいので、私の合格体験記をここに記す。
すこしでもモチベーション維持の足しにしてもらえれば幸いだ。
税理士試験への挑戦のきっかけ
私は、就職活動で人生で初めての挫折を経験した。
小学生から大学生まで国公立校で何不自由なく生きていた。
勉強は人並み以上にでき、大学は、塾に通わずに【国公立大学現役合格】したことがひそかな自慢である。だが、自己表現がとても苦手で、行動力がない、さらには友人も少なかったため、就職活動ではとても苦戦した。
なんとか営業職で内定を獲得したが、自分が骨をうずめる企業がここでよいのか、どうしても決断できなかった。そんな中、大学のゼミの教授に相談したところ税理士か公認会計士を薦められた。経営者と伴走するという素敵な仕事であること、試験がコツコツと継続することで合格につながるという点から、税理士を目指すことにした。
1年目:簿記論→合格 財務諸表論→合格
私は、簿記3級の試験に落ちている。よく挑戦しようと思ったものだが、私の無謀な挑戦は大学4回生(※)の9月に始まった。
最初の科目は簿記論と財務諸表論。
ダンスサークルに入っていた私は、サークルの集大成である文化祭の練習の傍ら、慣れない簿記に取り組んでいた。文化祭後は、卒業論文と両立していたが、卒業論文を書き終えると税理士試験の勉強に専念することができたので朝から晩まで勉強していた。
最初が肝心と思い、親の了承を得て1年目の税理士試験が終わるまでは勉強に専念させてもらうことができた。家族の理解は税理士試験の合格には必要不可欠である。両親にはたいへん感謝している。ありがとう。
勉強に専念することができたことと簿記の理解が深まり、楽しくなってきたこともあり勉強は順調に進んだ。苦しい時期を乗り越えることで勉強は楽しくなってくるし、成績もよくなる。とくに簿記論が得意で、専門学校での成績は上位10%前後を維持し、答練の第三問で満点をとった経験もある。自信もついて無事にはじめての税理士試験を終えた。
本来であれば試験後に悪夢の就職活動が始まる、、、ところではあるが私は巡り合わせが良かった。財務諸表論で講師の方に質問をたくさんしているとその方にお声かけいただき就職先が決定した。金髪で授業を受けていたのに、よくお声かけしてくださったなと今でも驚いている。
無事に税理士法人での仕事がスタートし、同時に法人税法と消費税法の勉強が始まった。
2年目:法人税法→不合格(A判定) 消費税法→年内脱落
会計科目と税法科目では難易度が一気に変わる。
税法という名前だけあって、そもそもの税法の考え方が体になじむまでに時間がかかった。理論暗記も難関である。さらに新しい仕事を始めながら法人税法と消費税法の税法2科目だったため、勉強についていけずに消費税法は年内で切り捨てた。法人税法に専念したことで、徐々に法人税法にも慣れてきたが理論暗記が難航した。
がむしゃらに勉強して試験に挑んだが惜しくもA判定で不合格であった。試験の手ごたえがまったくなかったので、試験後にすぐに法人税法の勉強をスタートした(悪あがきで消費税法の講座も申し込んだ)。
2年目の試験の後に運命的な出会いがあった。
3年目:法人税法→合格 消費税法→年内脱落
2年目の消費税法を勉強していたときに、よく講義で前後に座る方がいた。若い人が少ないこともあり、勝手にライバル視していたのだが、その方が私の働いている税理士法人に入社してきた。世間は狭い。そして、この方がのちのち私のパートナーとなる方である。
この方は、とても効率的に勉強する方でさまざまな勉強方法やツールを教えてもらった。とくに理論CDは、神器である。ぜひみなさまにも使っていただきたい。理論CDの力と私の努力のおかげで法人税法の成績が伸びた。日々の積み重ねが大事であると痛感した。もともと法人税法の計算問題が好きであったが、理論暗記も順調に勉強できたので、TACの全国模試では「S判定」。理論に関しては全国2位であった、歓喜。
努力は人を裏切らない。私は努力して2年で報われた。みなさまには1年で法人税の苦痛から解放されてもらいたいので、今後有益な情報を発信していきたいと思う。
無事に法人税法を終え、3度目の正直で消費税法の受験に挑む。いざ尋常に勝負!
4年目:消費税法→合格
意気込んだものの消費税率10%への引き上げと軽減税率8%の導入により、区分分けの難易度が上がった(現在は、インボイス制度導入によりさらに困難を極めるだろう)。
幸い税理士法人での仕事に従事していたので、消費税法に触れる機会が多かった。会計システムへ仕訳を入力するときに、消費税法で習ったことを考えながら課税区分の判定をしたり、その理論を思い浮かべたりしていた。消費税は身近な税金であるため、生活している中で生じる取引に消費税がかかるのかどうかを考えるのもおもしろかった。
自分の答案の作り方を確立できたこともあり、無事に合格することができた。消費税法の試験後にパートナーとの結婚を視野に入れて事業会社の経理に転職をしていたので、合格したときはほっとした。
5年目:国税徴収法→官報合格
最終決戦に選んだ科目は、国税徴収法である。税法だけでなく民法もかかわる科目なので最初は慣れなかったが、図を描きながら解くのはとても楽しかった。講師の方が個人的なツボで授業もおもしろく勉強ははかどった。
しかし、試験当日に事件が起きた。試験問題の読み間違いをしたのた。残り時間が少ないながら、書いた答案を二重線ですべて消し、手を震わせながら高速で再度答案を書き直した。落ちたと思った。
だが、令和4(2022)年11月30日の朝、通勤途中にスマホで合格発表を見ると自分の名前があったのだ。現実味がなく体がふわふわ浮いている感覚になった。少し口角を上げながら、内心大歓喜。
5年の年月を経て、私は無事に税理士試験に合格した。
合格してから
私は、法人税法に合格した時点で、超ホワイト企業の経理に転職した。今は、結婚もして、子どもにも恵まれて穏やかな生活を送っている。
税理士試験に合格したのだから、税理士として開業したい気持ちもある。だが、家族と穏やかに過ごす時間はなにものにも代えがたい。税理士試験は年齢関係なく挑戦する人がいるので、いつでも税理士として開業することはできると思っている。
私が税理士試験に合格して、得た一番のものは「家族との時間」である。ホワイト企業で残業がほとんどなく、ワークライフバランスを実現したのだ。管理職候補というおまけもついている。税理士としての開業の選択肢もあるので、会社に依存することもなく、税理士試験で学んだ知識を最大限発揮している。
税理士を目指す理由は人それぞれであろう。だが。税理士試験に合格することで得られるものは多い。これから挑戦する方も、挑戦している方も、ぜひ合格して、あなたの人生を豊かにしてほしい。私の経験をみなさまにお伝えするので、少しでもお役に立てば幸甚だ。
サクラサケ。