夢のある仕事【税理士】
これから目指す人に向けて、税理士について横断的にお伝えする。
ぜひ今の気持ちを持ち続けて税理士試験の合格、税理士として大成して、人生をより豊かにしてほしい。
- 税理士について知りたい方
- 税理士試験について知りたい方
- 税理士になるメリット・デメリット、向いている人や求められるスキルを知りたい方
- 税理士のキャリアや年収について知りたい方
税理士とは
税理士は、税の専門家・スペシャリスト。
難しい税金に関する知識を有しており、税金を正しく計算し、公平な納税を目指す国家資格である。
税理士法では、次のような規定となっている。
税理士法第1条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
税理士の使命は、【納税義務者の支援による納税義務の適正な実現】と【申告納税制度の適正・円滑な運営への貢献】である。
反対に脱税などの違法行為の相談に乗ったり、協力したりすることが禁止されている。
- 納税義務者の支援による納税義務の適正な実現
- 申告納税制度の適正・円滑な運営への貢献 など
- 脱税などの違法行為の相談に乗る
- 脱税などの協力をする など
税理士の仕事
税理士は、税理士法に定められた独占業務だけでなく、コンサルティングなどの幅広い業務をすることができる。
独占業務
税理士には、税理士法に定められた【独占業務】がある。

税務代理

税務書類の作成

税務相談
税務代理
税務代理は、税務に関する諸々の手続きを納税者を代理して行う業務である。
- 確定申告
- 各種申請手続き(青色申告承認申請手続き等)
- 税務調査の立ち合い
- 税務署の更正・決定に不服がある場合の申立て
税務書類の作成
税務書類の作成は、税金に関する各種申告手続きなどに必要な税務書類を作成する業務である。
- 確定申告書
- 相続税申告書
- 青色申告承認申請書
- その他税務署などに提出する書類
税務相談
税務相談は、税務に関する相談を受ける業務である。
- 節税相談
- 役員報酬の相談
- その他の税金に関する相談
その他の業務
税理士は、会社の経営・お金に携わる立場として、さまざまな分野で活躍できるフィールドが用意されている。
記帳代行
会計データを作成する記帳代行を請け負うことができる。
新しく事業を始めた個人事業主や新規設立した会社は、右も左も分からないため、記帳代行を税理士にお願いするケースは多いだろう。
コンサルティング
経営戦略やM&A、資金調達に関するコンサルティングを行うことも可能だ。
高度な税務知識を有しているからこそできる業務である。
会計参与
会計参与として、会社の取締役などと共同で計算関係書類の作成・備え置き・開示を行うことができる。
株式会社の設置機関のひとつで会社の役員。
会社法上、会計参与は、公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人でなければならないと定められている。
補佐人
税務訴訟において納税者の適正な権利・利益を主張する役割。
納税者本人や訴訟代理人である弁護士では、税務訴訟で充分な主張ができない場合に活躍できる。
税と会計の専門家として
その他にも以下のような仕事を行うことができる。
- 国税不服審判所での国税専門官
- 地方公共団体での監査委員
- 税務の専門家として法テラスへの協力
- 家庭裁判所での民事・家事調停員
- 認定経営革新等支援機関
- 現物出資にかかる評価証明者(会社法)
- 都道府県や市町村における税金の使徒をチェックする外部監査人(地方自治法)
- 国会議員関係政治団体の政治資金監査を行う登録政治資金監査人(政治資金規正法)
- 地方独立行政法人の業務を監査する監事(地方独立行政法人法)
税理士のメリット・デメリット
税理士という国家資格のメリットとデメリットを紹介する。
メリット
- 独占業務がある
- 安定した収入を得ることができる
- 資格は無期限
- さまざまな働き方が可能
デメリット
- 資格の難易度が高い
- 資格取得までに時間とお金を要する
- 資格取得後も勉強が必要
メリット
独占業務がある
【税務代理】【税務署類の作成】【税務相談】は、税理士の独占業務である。
この独占業務を行って、顧問先の税務をサポートするのである。
安定した収入を得ることができる
税理士の報酬は、基本的に月々の顧問料+申告料である。
顧問先を確保することができれは、毎月顧問料がいただけるので、安定的に収入を得ることができる。
資格は無期限
税理士資格は、税理士法に定める懲戒処分や禁止処分を受けない限り、期限はない。
その名の通り生涯現役である。
さまざまな働き方が可能
【独立開業】【勤務税理士】【経理部門】など多様な働き方が選択可能だ。
ご自身のライフプランや夢に向けて、選択肢は無限大。
デメリット
試験の難易度が高い
税理士試験は難関国家試験である。
合格率は10~20%前後であり、さらに5科目を合格しなければならない。
資格取得までに時間とお金を要する
税理士試験は1~2年で合格することは非現実的であり、5年で合格でも優秀な方だ。
10年以上かけても合格できないという話はざらにある。
独学での合格は難しく、専門学校に通う必要があるため、時間だけでなくお金もかかる。
資格取得後も勉強が必要
税法は、年々変わっていく。
新しい知識を蓄え、発揮できなければ、税理士損害賠償に発展する可能性もある。
さらにはデジタル化などの時代の流れもあるので、試験合格後も勉強は必須である。
勉強することが楽しめる方にとってはデメリットではなく、【自身の価値を高める】メリットになる。
税理士に向いている人の特徴・求められるスキル
どのような仕事においても向き不向きがあるもので、【税理士】に向いている人の特徴と求められるスキルをご紹介する。
税理士に向いている人の特徴
- 勉強が好きな人
- 会社の経営に携わりたい人
- コツコツ努力ができる人
- 数字が好き・得意な人
- 人とのコミュニケーションが好きな人
勉強が好きな人
税理士になるためには税理士試験の合格が1つの要件である。
税理士は、難関国家試験であり何年もかけて試験に合格して取得する資格なのだ。
自分の時間とお金を投資して何年も勉強をするので、勉強が好きな人でないと続けることはできない。
そして、税理士になってからも、税法は毎年改正されるため常に勉強が必要となるのだ。
さらに、幅広い業務を行うことができる反面、それぞれの業務に関する知識・経験が必要となってくる。
このように税理士は、日々勉強が必要な資格だ。
税理士は、勉強が好きで、勉強を楽しめる人にはぴったりの資格だろう。
会社の経営に携わりたい人
会計・税務は、会社にとって重要な分野である。
税理士は、その重要な分野に対して深い知見を有し、会社の経営に携わることができる資格なのだ。
税理士は、独立開業をして、自分で事務所を経営することができる資格でもあるので、会社の経営に携わりたい人には、ぴったりな資格である。
コツコツ努力ができる人
税理士は、素敵な資格ではあるが、一発大儲け!というような仕事ではない。
地道にコツコツ勉強して、税理士試験に合格して、日々会社の数字をチェックして、顧問先を増やしていくような仕事である。
一発大儲けではないが、顧問先が着実に増えれば、収入は安定するし、青天井である。
コツコツ努力型の人にとっては、ベストマッチな資格だろう。
数字が好き・得意な人
税理士は、毎日数字と睨めっこである。
数字が好きな人でなけば、辛くなるだろう。
学生時代に算数や数学が好き・得意だった人にとっては、相性のいい国家資格である。
人とのコミュニケーションが好き・得意な人
税理士は、経営者や会社の経理とのやり取りが求められる。
難解で敬遠されがちな会計や税務の話をわかりやすく説明することが必要なのだ。
税理士に求められるスキル
- 会計・税務知識
- コミュニケーション能力
- 営業力
会計・税務知識
【税理士】という名前のとおり【税】に関する知識は、必要不可欠。
【税】に関する知識の前提として、会計に関する知識も必要となってくる。
税理士資格を取得していれば、ある程度の会計・税務知識が身についている。
しかし、税法は毎年改正されているので、最新の知識にアップロードしていくことが税理士として求められる。
コミュニケーション能力
税理士は、経営者や会社の経理とのやり取りがあるため、コミュニケーション能力が求められる。
特に経営者は、会計・税務に関する知識をお持ちでないことが多いため、会計・税務についてわかりやすく説明しなければならない。
営業力
独立開業の場合には、顧問先を増やすために営業力が必要だ。
紹介サービスはあるものの最終的な契約を行うときには営業が必要になってくる。
大きく稼ぎたい場合は、特に必要なスキルになってくるだろう。
税理士になるためには
税理士になるための方法は、
税理士試験に合格かつ、実務経験2年以上
税理士試験に合格かつ、実務経験2年以上
税理士試験についての説明は、以下税理士試験の概要にて詳しく説明する。
実務経験2年以上とは
租税又は会計に関する事務に従事した期間が通算して2年以上あることが必要
とのことである。
税理士法基本通達には、以下のような事務が定められている。
区分 | 事務内容 |
---|---|
租税 | 官公署における事務、その他の官公署及び会社等における税務 |
会計 | 簿記上の取引について、簿記の原則に従い取引仕訳を行う事務 |
仕訳帳等から各勘定への転記事務 | |
元帳を整理し、日計表又は月計表を作成して、その記録の正否を判断する事務 | |
決算手続に関する事務 | |
財務諸表の作成に関する事務 | |
帳簿組織を立案し、又は原始記録と帳簿記入の事項とを照合点検する事務 |
一般的に税理士法人や会計事務所・企業での経理部門であれば、実務経験として通算することができる。
ただし、簿記会計に関する判断のない機械的な事務(電卓などを利用しただけの単純な事務)は実務経験とならないので要注意。
アルバイト・パート期間であっても実務経験として通算可能で、複数事務所での実務経験を合算して2年以上となればよい。
税理士試験の概要
試験の目的
税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定すること。
受験資格
会計科目
令和5(2023)年から受験資格が緩和され、受験資格がなくなった。
会計科目については、だれでも受験可能となっている。
税法科目
税法科目については、以下のいずれかの資格が必要になってくる。
学識による受験資格
- 大学、短大または高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目※を1科目履修した者
- 大学3年次以上の学生で社会科学に属する科目を含め62単位以上を取得した者
- 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
- 司法試験に合格した者
- 公認会計士試験の短答式試験に合格した者
※社会科学に属する科目:法律学または経済学に属する科目のほか、社会学、政治学、行政学、政策学、ビジネス学、コミュニケーション学、教育学、福祉学、心理学、統計学等の科目
資格による受験資格
- 日商簿記検定1級合格者
- 全経簿記検定上級合格者
職歴による受験資格
- 法人または事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
- 銀行、信託会社等で資金の貸付け、運用に関する事務に2年以上従事した者
- 税理士、弁護士、公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
試験科目
科目区分 | 科目 | 必須 |
---|---|---|
会計科目 | 簿記論 | ○ |
財務諸表論 | ○ | |
税法科目 | 所得税法 | ○ ※ |
法人税法 | ||
相続税法 | – | |
消費税法または酒税法 | – | |
国税徴収法 | – | |
住民税または事業税 | – | |
固定資産税 | – |
合格基準
合格基準点は、各科目とも満点の60%(傾斜配点あり)。
合格科目が会計科目2科目及び税法科目3科目の合計5科目に達したときに税理士試験合格となる。
なお、税理士試験は科目合格制であり、受験者は一度に5科目を受験・合格する必要はなく、1科目ずつ受験してもよい。
税理士試験の難易度
税理士試験は難関国家資格に位置付けられている。
科目ごとの合格率は10~20%前後であり、かつ、5科目を合格しなければならない。
ただし、科目合格制度を採用しているため、一度合格した科目は永久に合格科目となるため、諸事情で一度税理士試験をあきらめざるを得なかった方も、いつでも再挑戦が可能となる。
令和6年(第74回)税理士試験の合格率を前回との比較を含めて掲載する。
令和6年(第74回) | 令和5年(第73回) | |
---|---|---|
簿記論 | 17.4 | 17.4 |
財務諸表論 | 8.0 | 28.1 |
法人税法 | 12.6 | 13.8 |
所得税法 | 16.4 | 14.0 |
相続税法 | 18.7 | 11.6 |
消費税法 | 10.3 | 11.9 |
酒税法 | 12.1 | 12.7 |
国税徴収法 | 13.0 | 13.9 |
住民税 | 18.2 | 14.7 |
事業税 | 13.7 | 16.4 |
固定資産税 | 18.0 | 17.3 |
全体 | 13.5 | 18.8 |
令和5年(第73回)は、財務諸表論の合格率が異常値だったのであまり参考にしないほうがよいだろう。
税理士試験の免除制度
税理士試験は、11科目のうち5科目に合格しなければならない難関国家試験である。
ただし、税理士試験には一部科目または全科目の免除制度が用意されている。
一部科目免除
学位取得:2科目免除
所定の大学院に進学して修士論文を執筆して卒業することで税理士試験科目を2科目免除することができる。
大学院に進学しなければならないので、学費がかかってしまう反面、税理士試験での5科目合格が難しい人にとってはよい手段であろう。
税務署で10年以上勤務:税法科目免除
税務署で10年以上勤務することで、税法科目が免除される。
あとは、税理士試験の登竜門である【簿記論】【財務諸表論】に合格すれば、税理士試験の合格である。
登竜門をくぐれば、すぐそこにゴールテープがあるのだ。
全科目免除
【弁護士】または【公認会計士】の資格保有
弁護士または公認会計士の資格を保有しているとおまけで税理士試験の合格もついてくる。
公認会計士については、税理士になるために一定の研修が必要になってくる。
ただし、税理士の資格があるからといって税務に精通しているとも限らないので、税務についての勉強は必須となってくるであろう。
税務署で23年以上勤務
税務署で23年以上勤務することで税理士試験の全科目が免除となる。
税務署出身の税理士は、顧問先にとっては安心感がある。
顧問先の税務調査への対応は安心して任せることができるであろう。
税理士の平均年収
この表を掲載するのはあまり乗り気ではないが、一般的な情報として掲載する。
というのも、公認会計士・税理士としての平均であるので、税理士単体の情報ではないためである。
年齢 | 年収 |
---|---|
20~24歳 | 3,363,500円 |
25~29歳 | 4,527,900円 |
30~34歳 | 4,535,000円 |
35~39歳 | 7,302,800円 |
40~44歳 | 9,227,400円 |
45~49歳 | 9,564,400円 |
50~54歳 | 10,860,900円 |
55~59歳 | 8,531,700円 |
60~64歳 | 14,366,100円 |
65~69歳 | 6,448,700円 |
70歳~ | 5,523,000円 |
基本的に公認会計士は、大企業を相手にするお仕事なので平均年収は高い傾向にあり、税理士法人や会計事務所は、規模がピンからキリまであるため、報酬も同様にピンからキリまでである。
ここまでの内容だと、【公認会計士が年収が高くて良い】という結論になってしまいそうだが、税理士は、独立開業をして、実力があれば収入も青天井である。ほかにもさまざまな働き方があるため、ご自身のライフプランに合わせた多様な働き方が選択できるというメリットがある。
税理士と公認会計士では、業務内容も異なるため、お金のみを基準に考えることは得策ではない。
公認会計士との違い
税理士と混同されがちな資格として、【公認会計士】が挙げられるがまったくの別物であり、次のような違いがある。
税理士 | 公認会計士 | |
---|---|---|
独占業務 | 税務 | 監査 |
顧客規模 | 主に中小企業や個人事業主 | 大企業 |
受験資格 | 一部に受験資格の規定あり | 誰でも受験可 |
科目合格制度 | あり | なし |
試験難易度 | 難関 | 最難関 |
ここでのポイントは、公認会計士に合格すると税理士試験が免除されることである。
ただ、公認会計士として合格してたとしても税務知識は乏しい場合が多いため、公認会計士に合格して、税理士として働くためには、一定の税務の実務や勉強が必要となってくることを念頭に置いていただきたい。
それぞれの特徴から目指す資格を決定しよう。
税理士のキャリアプラン
独立開業
税理士を目指す人の一番目標は、独立開業であろう。
自分の力で得た税理士資格を存分に発揮して、稼ぎたい人は青天井に稼ぐことが可能である。
また、独立開業後に会社を大きくして、税理士2人で税理士法人を設立することもできる。
会計事務所・税理士法人
いわゆる勤務税理士と呼ばれる人たちで、会計事務所や税理士法人で活躍をすることができる。
自分で開業するための準備のために働いていたり、独立せずとも十分な報酬を得ている方がいる。
一般企業の経理部門
一般企業での経理部門で活躍することも可能だ。
自身が有する税務の知識を会社の経理に役立てることができる。
税理士資格を有することで大企業への転職も可能となるので、可能性は無限大だ。
私は経理部門に転職して幸せな生活を送っている。
税理士とのダブルライセンス
税理士だけでも資格としては十分だか、会社の経営に関する他の資格を取得することで、さらに自分の価値を高めることかできる。
- 社会保険労務士
- 司法書士
- 中小企業診断士
- 行政書士
- ファイナンシャル・プランナー
- 不動産鑑定士
まとめ
メリット
- 独占業務がある
- 安定した収入を得ることができる
- 資格は無期限
- さまざまな働き方が可能
デメリット
- 資格の難易度が高い
- 資格取得までに時間とお金を要する
- 資格取得後も勉強が必要
税理士資格は、あなたのライフプランに多様な選択肢をもたらす。
どのような選択肢をしても、あなたが決めて、あなたが幸せであれば、その選択が正解なのである。
税理士試験の合格は、あなたの人生を豊かにしてくれる。
これから税理士試験に挑戦しようとしている方、現在絶賛挑戦中の方、税理士試験の合格に向けて全力で勉強に励んでほしい。
このサイトでは、あなたの税理士試験合格に役立つ方法を存分にお伝えしている。
ぜひ活用してほしい。
サクラサケ。